相続財産の振り分けとプラス財産・マイナス財産について
遺産相続が発生した場合、遺言書がある場合はその内容に従って財産を振り分けし、ない場合は法定相続分に従って振り分ける必要があります。相続人になった方が財産の振り分け方で悩むケースも多いため、事前に振り分け方や財産の内訳を確認しておくことが大切です。
相続財産の振り分けについて
相続財産の振り分けについてどのようにすれば良いのでしょうか?まず、最初に行わなければならないことは、遺言書の存在有無の確認です。
遺言書がある場合は、あらかじめ「誰に」「何を」「いくら分与えるのか」などが詳細に記載されている場合があります。したがって、遺言書があるのか、ないのかによってその後の相続財産の振り分けは大きく異なります。
もし遺言書がない、あるいは遺産の分配に関する記載が不十分の場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。後日、遺産の分配などをめぐるトラブルを防ぐためには、遺産分割協議書の作成も忘れずに行うようにしましょう。
なお、相続財産に住居などの不動産が含まれている場合は、財産の振り分けを決める前に配偶者居住権について把握しておくことが大切です。配偶者居住権の詳細は後述する「民法改正に伴う配偶者居住権の設定について」で説明しています。
相続財産の振り分けについては、複雑になるケースも少なくないため、相続が発生した場合は早めに税理士へ相続相談することをおすすめします。
東京で相続相談をご希望でしたら、志賀暎功税理士事務所にお問い合わせください。業歴30年以上の豊富な経験と知識を持つ税理士が、お客様の立場に立ち、相続の手続きや相続税の申告などを親身にサポートいたします。
民法改正に伴う配偶者居住権の設定について
相続財産に不動産が含まれている場合、不動産を売却して現金化し、遺産を分割するケースもあります。しかし、その不動産に被相続人の配偶者が住んでいた場合、配偶者は遺産相続に伴って住み慣れた家を失うという問題が発生していました。
そこで、平成30年7月に民法改正案が可決され、配偶者の住む家を確保するための配偶者居住権が創設されることになりました。これにより、平成32年4月1日以降から住居を「居住権」と「所有権」に分けて相続できるようになり、配偶者が居住権を相続することで、同じ家に住み続けることができるようになったのです。
改正前と改正後の違いをわかりやすくするために、住居6,000万円と預貯金2,000万円を法定相続分に従って配偶者と2人の子で分割する場合の例をご紹介します。法定相続分は、配偶者が全財産の1/2、子は全財産の1/4ずつとなります。
改正前
住居6,000万円を売却し、預貯金2,000万円との合計金額8,000万円を下記の通りに分配します。
配偶者 | 現金4,000万円 |
---|---|
子1 | 現金2,000万円 |
子2 | 現金2,000万円 |
改正後
住居6,000万円を居住権3,000万円と所有権1,500万円×2に分けて相続し、預貯金は残りの法定相続分を補填するように分配します。
配偶者 | 居住権3,000万円、現金1,000万円 |
---|---|
子1 | 所有権1,500万円、現金500万円 |
子2 | 所有権1,500万円、現金500万円 |
プラスとなる財産・マイナスとなる財産
次に、相続財産の中でプラスとなる財産とマイナスとなる財産についてご説明します。相続財産と聞くと、現金などを想像する方は多いかもしれませんが、相続財産とは必ずしもプラスとなる財産とは限りません。
場合によっては、マイナスとなる財産も相続しなければいけなくなる場合があるのです。プラスとなる財産・マイナスとなる財産は、以下のようなものが挙げられます。
プラスとなる財産
- 現金
- 有価証券
- 土地やアパート・マンションなどの不動産
- 自動車・貴金属・美術品などの動産
上記の他にも、損害賠償請求権や著作権、特許権なども該当します。
マイナスとなる財産
- ローン
- 買掛金
- 手形
- 小切手
- 未払いの税金や、未払いの地代
- 未払いの家賃・医療費など
相続放棄や限定承認といった、特別な手続きを行わない場合には、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も引き継ぐことになってしまいます。よって、マイナスの財産が多くなることが予想される場合は、相続放棄や限定承認の手続き(相続人であることを知ってから3か月以内)を検討することをおすすめします。
東京で税理士に相続相談をしたい方は、東京の文京区にある志賀暎功税理士事務所にご連絡ください。常に、「わかりやすく」「誠心誠意」の対応を心がけており、お客様からの相続相談に対して親身に対応いたします。遺産相続や遺言など、何かわからないことがありましたら、遠慮なくお申しつけください。
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