万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2022/09/05


 掛け捨ての生命保険は、財産債務調書の報告対象となるのでしょうか?




 夫から、「財産債務調書の提出が必要となるため、財産の内訳を確認してほしい」と言われました。預貯金や不動産、有価証券は把握できているのですが、掛け捨ての生命保険(保険金支払事由が発生しておらず解約返戻金もない保険)も対象になるのでしょうか?
 また、財産債務調書の提出にあたり、契約している保険についてどこに何を確認すればよいでしょうか。他にも注意事項があれば教えてください。




 保険金支払事由が発生しておらず、解約返戻金もない掛け捨ての生命保険は、財産債務調書の報告対象外です。他方、解約返戻金が発生する契約については対象となるため、加入している保険会社や取扱代理店に、解約返戻金額を確認する必要があります。


1.財産債務調書とは

 一定の所得金額を超える所得税の確定申告書を提出する方で、一定の財産額を保有されている場合など提出対象となる方は、その年の12月31日時点で所有する自己の財産や債務の内容、価額などを記載した書類を、定められた期限までに提出する義務があります。この提出する書類のことを「財産債務調書」といい、このような制度のことを「財産債務調書制度」といいます。

 財産債務調書制度には、提出すべき人が提出するように促すための措置として、提出している場合のペナルティの軽減措置や、逆に提出していない場合のペナルティの加重措置が講じられています。

2.掛け捨ての生命保険は財産債務調書の報告対象となるのか

 国税庁は、「財産債務調書の提出制度(FAQ)(令和元年12月)」で以下のように回答しています。

 保険(共済を含む。)に関する権利の価額は、その年の12月31日にその生命保険契約を解約することとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額をその財産の価額とします(通達6の2−9(13)イ)。
 なお、加入している生命保険契約が、満期返戻金を定期金(年金形式)で受け取ることができる内容のものであっても同様の方法により価額を算定します。

 上記の通り、生命保険契約を解約することとした場合に支払われる解約返戻金の金額を財産債務調書の報告対象としているため、掛け捨ての生命保険(保険金支払事由が発生しておらず解約返戻金がない保険)は対象となりません。

3.財産債務調書の提出にあたり
(1)どこに何を確認すればよいのか

 加入されている保険契約(損害保険、共済も含む)のうち、解約した場合に解約返戻金が発生する契約について12月31日時点の解約返戻金額をそれぞれ確認する必要があります。
 解約返戻金の金額は、加入している保険会社のコールセンターや取扱代理店にお問い合わせいただくことで、確認ができます。

 なお、保険会社によっては、回答に少し時間を要する場合もあるため、期日に余裕を持ってご確認いただくとよいでしょう。

(2)注意事項

 以下は記入が漏れる場合が多いため、ご注意ください。

  • 相続により引き継いだ保険契約
  • すでに保険料の払い込みが完了している契約で、満期日や受取開始日が到来していない養老保険や個人年金保険等

 保険契約が多い場合は、契約者や被保険者ごとに保険内容(保険会社、契約日、保障内容、保険料、特約内容等)を一覧にまとめるとよいでしょう。一覧にすることで全体像が認識しやすくなるため、財産債務調書の観点だけではなく、保障の過不足を認識できる、保険金請求時に請求漏れを防止できる等のメリットがあります。

 また、保険契約後かなり年数が経過していると、保険金受取人がすでに他界していた・疎遠になったケースも見受けますので、見直すよい機会にもなるでしょう。いざ相続となったときに、受け取ってほしい人に確実に保険金が渡せるよう、定期的な見直しにも役立ちます。

 財産債務調書や保険の見直しに関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。


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