消費税の軽減税率制度の対象となる飲食料品等を販売しなければ、軽減税率制度は関係ありませんか?
出演: ・・・M社 経理部 まい
・・・顧問税理士
― M社 会議室にて ―
M社経理部まいと顧問税理士が、打ち合わせを行っています。
消費税の増税や軽減税率制度って、本当に10月からスタートするのですか?
どうでしょうか。
リーマンショック級の出来事がなければ予定通り、と言われ続けていますが。
まあ、軽減税率は弊社に関係ありませんけど。
なぜ、そう思われるのですか?
だって、軽減税率は飲食料品の販売が対象ですよね?
…まあ、一部新聞もありますけど。
どちらにしろ、弊社は機械部品製造業ですから、軽減税率なんて関係ありませんよ。
ですが、御社は年商2億円の消費税の納税義務者です。売上として軽減税率は関係なくとも、日々の取引の中で、軽減税率の対象となる取引が生じるケースはありませんか?
たとえば?
3時になると、茶菓子を出してくださるじゃないですか。
この茶菓子は、軽減税率の対象ですよ。
たしかに!
そうですね。
御社の受付には、新聞や雑誌が設置されていますが。
この新聞は、軽減税率の対象となる定期購読契約に基づくものではありませんか?
たしかに。
そう考えると、社内研修のときの仕出し弁当やペットボトル飲料代も、該当しますね?
そのとおりです。
ですから、軽減税率の対象となる売上がないからといって、即、軽減税率制度と無関係、というわけではないわけです。
そうすると、弊社はどう対応すればよいのでしょうか。
まず、日々の取引で軽減税率の対象か否かを確認します。
具体的には、軽減税率対象品目に係る支出がないか、請求書や領収書等で確認しましょう。
軽減税率対象であれば、原則として区分して記載しているはずです。
それから、その区分に基づいて、区分経理を行います。
具体的には、軽減税率対象部分とそうでない部分とに分けて仕訳をします。
特に、軽減税率対象部分については、帳簿に軽減税率の対象品目である旨の記載が必要となりますので、注意していただく必要がありますね。
1つのレシートに両方あったら、仕訳を2つ起こすってことになるのですね?
そうです。
消費税を計算する上で、税率ごとに分けて税額計算を行わなくてはなりません。そのためには、日々の取引においても区分していただかないと分かりませんから。
これまでのような請求書等のない自動販売機や、3万円未満の少額取引についての取扱いはどうなるのですか?
それは、令和5年9月30日までの間でしたら、引き続き請求書等がなくとも区分経理された帳簿の保存があれば問題はありません。また、保存すべき請求書等にも記載要件が加わっていますが、それらについて仮に記載がなくとも、同期間内でしたら御社側での追記が可能です。
じゃあ、弊社側としても軽減税率の対象なのかどうかを区別できるようにしなくてはいけない、ってことですね?
ご理解のとおりです。
であれば、今度、勉強会を開催してほしいです。
弊社でよくある支出について、気をつけるべき点をピックアップして教えてもらえると助かります。具体的な仕訳処理についてもあわせて教えていただきたいですし。
そうですね。
会計ソフトの入力方法がどのように変わるのか分かり次第、行いましょう。
よろしくお願いします。
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